2012年12月17日 宮城県石巻 石巻北高校飯野川校内(雄勝中学校)

レポート作成:栗谷昌克

2012年も終わりに近づいた11月末頃でした。
次のウツワノチカラProjectで訪れる候補地を絞ろうとしていたところに、以前気仙沼に行くきっかけを作ってくれた仙台市を拠点に活動する支援団体「Bee’s Buddy」代表の遠藤様より連絡がありました。

「石巻市で未だ不便な生活を送る雄勝中学校の皆さんに器を届けて頂けないでしょうか?」

東北では12月になるともう雪の舞う季節に突入します。
雪が降ってしまえば移動も難しくなってくるため、かなり急な話になってしまいましたが、急いで準備を整えました。

11月の益子秋の陶器市で寄付を募った器に加え、大急ぎで告知をして全国から送っていただいた器、約500点。
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いつもいつもの事ながら、急なお願いにも関わらずこうやって器を寄せてくれる皆様には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

中には
「いつも何かしたいと思ってはいても個人ではなかなか方法が無い。こうした活動を行ってくれてありがとうございます」
なんてメッセージも。

・・いやいや、こちらこそ本当にありがとうです。

何かと「繋がる」という言葉が乱用されている今日この頃ですが、こういう活動を通して本当の意味で繋がる事の良さを実感できることを心から嬉しく思います。

嘘でも綺麗ごとでもなく最近一緒に何かしている人に対して本当に素直に思う事が多いんですよね。

「一緒に何かしてくれてありがとう」って。

その気持ちをどう形にしていけばいいのかはいつも悩むところですが。


12月17日 当日

早朝に荷物を積み込み、石巻へ。

今回は荷物の数や活動内容から最小構成でスタッフ3名と荷物、ワークショップの道具などを車一台に詰め込んでの移動。
若干雲行きは怪しかったものの、本格的に降り出すことは無く、順調に現地に到着。

まずは目的地近くの道の駅「上品の郷」で「Bee’s Buddy」の皆さんと合流。
代表の遠藤さんとは1年以上ぶりの再会。
相変わらずの元気な様子に懐かしさがこみ上げました。

軽い打ち合わせの後、目的地に向かいます。
実のところ、今回はあまりに急な話だったため、この時点では向かう先の情報が最小限しか伝えられていませんでした。

なので、詳しい情報は行きながら、現場で確認しながら、という形になりました。

IMG_3173.JPGIMG_3173.JPG石巻北高校飯野川校

午後、石巻北高校飯野川校に到着。

今回はここに通う雄勝中学校の生徒さんと教職員の皆さんに器を届けに来ました。

「石巻北高校飯野川校」で「雄勝中学校」?
と思うかもしれません。

ここに通う雄勝中学校の皆さんは元々石巻雄勝町に住んでいた方々です。
石巻雄勝町は先の震災で津波の被害の大きかったところの一つ。

震災で家や家族を失い、現在仮設住宅で生活をしながらここ石巻北高校飯野川校の中で学んでいます。



到着し、まずは体育館に器を運び、生徒の皆さんが来る時間に合わせて教職員の皆さんと一緒に準備を進めます。
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定刻になり、生徒さんたちが体育館に入ってきます。
まずはご挨拶。
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焼き物に関しての基礎的な説明も簡単にさせていただきました。



そして器の提供を始めます。
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最初はかなり遠慮がちで遠巻きに見ていた皆さんでしたが徐々に場の雰囲気にも慣れてきて笑顔があちこちに咲いてきました。

教職員の皆さんも「今夜の晩酌に早速使うから」と楽しそうに選んでくださいました。

簡単なワークショップも開催
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皆さん、本当に楽しんでくれました。
その雰囲気、伝わるでしょうか?

こういう笑顔に触れると、「来てよかった」そう思えるんです。


震災で本当に大変な目にあってきた皆さん。
ここまで過ごしてきた時間は我々が簡単に言葉に出来るはずが無いほどの大変な時間だったのだと思います。

正直なところ、いつも現地に向かう時には「いったいどうやって皆さんと接すればいいのだろう?」と思ってしまいます。

今回もやはりそうでした。

そんな気持ちが自然と自分をこわばらせます。

・・・でも皆さん、驚くくらい本当に明るくって、とてもいい子達で。
何か上手く言えませんが、逆にこちらが励まされたような、そんな気になりました。
それじゃいけないんでしょうけど・・。

当たり前ですが、震災の傷は簡単には癒えません。
まして、行ってみて「現地の人は元気そうだった」なんて言えるわけがありません。
その傷の本当の深さは計り知れないと思います。
そういう現実の前ではやっぱり器なんて、自分なんて無力だと感じることもよくあります。

答えなんかありません。
でも自分たちがこういう活動を通し、現地の人の「今」に触れて、その場で何かを感じることはけして無意味ではないと思うんです。



生徒代表の方からお礼のご挨拶をいただき、今回の器提供は終わりました。

帰る前に校長先生の部屋で色々なお話を伺いました。

最後に

「また、機会があったら来てほしい」

そう伝えられました。

Bee’s Buddy代表の遠藤さんからも、「また必ずお願いね!来るって言った以上は絶対なのよ!(笑)」と。



震災から今まで恐らくたくさんの同様の活動が全国各地で行われているんだと思います。

いつも言っていますが、陶ISMで行っているこの「ウツワノチカラProject」は本当にささやかな活動です。

派手でも無ければ、一回一回の活動は本当に小さい。

でも、その中には不自然なものは何もなく、本当に人と人の繋がりの中で、出来る人が出来る事を持ち寄った結果で動いています。

当初、この活動は被災地の復興状況を見ながら徐々に終わらせていくもの、と捉えていました。

でも最近、メインで活動しているスタッフの中ではその意識は変わりつつあるように感じます。

震災の事がきっかけにはなったものの、「ウツワノチカラ」は支援の形だけでは無く、器を通してそこから先、さらにこれからの人と人を繋ぐ何かを見つけ出せるProjectになるのではないか?

少しずつではありますが、そう考えるようになってきました。

今は答えは出せません。

ですが、たとえ地味でも、少しづつでも活動を続けることできっと将来見えてくるものがあるような気がします。

また次回は違う場所、あるいは同じ場所を何度か訪れて器を届け続けるんだと思います。
その際にはまた色々な人たちの協力をお願いする事になると思います。

この活動は本当に皆さんの協力があってのものです。

最後になりましたが、
今回も協力いただいた皆様に心からお礼申し上げます。

どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。


陶ISM実行委員会・事務局長:栗谷昌克

運搬・現地での活動

井上塁 岩下宗晶 栗谷昌克

今回、器を提供してくださった​作家の皆様(順不同)

望月万里 林拓児 小池芙美 遠藤隆宣 冨本大輔 山口陽子
樋口早苗 林さとみ 松本英治 田村一 増田ひかり 清野学
築添明 庄司理恵 村上裕 上田隆之 小松美知子 貫井美保子
山下秀樹 上田英二 菅谷秀樹 服部達夫 玉木一将 渡部智鶴
竿田裕子 伊藤千穂 野田里美 河村澄香 伊藤寿 安江かえで
最上進 横尾聡 嶋田めぐみ 志村和晃 川崎萌
井上塁 岩下宗晶 栗谷昌克